「やっと来た20世紀最後の春」( 2000.4.10掲載)

今年は2月から3月にかけて寒さが厳しく、北海道や東北地方では遅くまで大雪に見舞われたようです。このため桜の開花が全国的に1週間から10日程遅れ、愛知県でもやっと花見を楽しめるようになりました。待ちこがれた20世紀最後の春がやっと来たという感じです。ここにお見せする葉書絵はまだ冬の寒さからぬけ切らない情景ばかりですが、今回は伊勢神宮参拝で見つけた題材や、昨年12月にオープンした名古屋駅のJRツインタワー15階から眺めた珍しい景色など、多少ユニークなものを載せてバラエティーにとんだページにしたつもりです。ごゆっくりご覧ください。

「遅れ馳せの初詣」:(2000.2.1)

勤務先の創立記念日は2月1日で、職場では毎年この日に日帰り旅行を行う習わしになっています。今年は職場の人たちが3月末に各出向元に帰ることになっているので、修学旅行の意味で伊勢参りをしました。2月の初詣とはいささか時期はずれの感じがしましたが、まだ真冬で寒さも厳しく遠方からと思われる参拝客もいて結構初詣の雰囲気に浸りました。ここへは数え切れないほど参拝に来ていますが、その度に眼には見えない神の尊厳というものをひしひしと感じます。
「伊勢「赤福」本店」:(2000.2.1)

伊勢名物の筆頭は何といっても「赤福」です。口に入れるとお餅を包んだ柔らかいあんこの甘さがこたえられません。この建物は「赤福」の本店で、伊勢神宮内宮前の商店街「おかげ横丁」の中心部にあります。古風な店の前に多くの参拝客がたむろして「赤福」に舌鼓を打っていました。また「おかげ横丁」で伊勢名物の「金平糖(こんぺいとう)」を買いました。砂糖の甘さに生姜の風味がきいて子どものころに食べた記憶がよみがえってきました。
「鳥羽真珠島・海女の実演」:(2000.2.1)

鳥羽といえば「御木本幸吉と真珠」で有名です。真珠島は鳥羽駅から数分の所にあり、かっては島に渡るのに船を使っていたのですが現在は橋で直接行けるようになっています。この光景は真珠採りのデモンストレーションで、3人の海女さんが海中に潜ってアコヤ貝を採っています。いったん潜ると2・3分は姿が見えません。水面に浮き上がると深呼吸をしますがその時に発せられる「フュー」という音が印象的です。この時の水温は確か9度だったと思いますが、職業とは言え厳しい環境にさらされる彼女たちは大変です。実演は約10分で終わりましたが見物した私たちも結構冷えてしまいました。
「大阪・堂島大橋」:(2000.2.10)

私の葉書絵の題材は仕事柄ほとんど愛知県と東京に集中していますが、今回大阪の関西電力に出張する機会ができたのでついでに数枚描いてきました。大阪へは2、3年ぶりだと思いますが、この絵を描いた中之島界隈ではビルの建設ラッシュで、まさか2008年のオリンピック誘致を目当てにしているのではないかと思われるほど、この不景気の中で結構活況を見せていました。この堂島大橋の左手のビルも完成まじかの高層マンションです。以前から感じていたことですが、大阪の高層ビルは東京と違って奇抜なデザインが多く、大阪人には秀吉の意表をつくような性格が受け継がれていて、人々にその賑々しさが残っているのではないでしょうか。
「大阪・梅田交差点にて」:(2000.2.10)

上と同じ時に描いたものの1枚です。ここはJRや阪神電車の大阪駅などが集中している所ですが、交差点の上にある歩道橋から南側を見るとこのようになっています。この絵を描いている間中、歩道橋の端の方から若者たちが演奏する賑わしい音楽が聞こえてきました。どうやら新興宗教のパーフォーマンスの様でしたが、何かに取り付かれたように頭上に手をかざしながら腰を振っていました。
考えてみれば、私も一人葉書絵に取り付かれたように寒い風に吹かれながら筆を動かしているわけです。
「JRツインタワー15Fより桜通りを望む」:(2000.2.10)

この絵は昨年暮にオープンしたJRツインタワーズ(名古屋駅)の15階正面から東側を見たものです。このフロアーは今年3月にオープンした「JR高島屋」の上に位置し、ツインタワーの共通部分になっている所です。桜通りは名古屋の中心部を横断する幹線道路ですが、このように見えるのはここだけです。左側の高いビルは「国際センタービル」で、海外の人たちとの交流の場として中部地区における中心的役割を果たしています。
「父親と娘」:(2000.2.10)

上の絵と同じシチュエーションでの作品です。このフロアーへは誰でも自由に入って外の景色を楽しめる様になっており、毎日老若男女で賑わっているようです。この二人について時節柄野暮な詮索もしたいのですが、タイトル通りの解釈が最も自然だと思います。窓の後方は北東方向で天気もよく御岳山まで見通せました。
ところでさる3月21日にこのツインタワーの展望台(高さ約240m)から名古屋市内の夜景を見る機会がありました。初めて見る名古屋市全体の、また夜の景色は素晴らしいものでした。5年程前に見たアメリカのシカゴの夜景に優るとも劣らないという感じで、名古屋へお出での方は一度ご覧いただけば良い思い出になると思います。
「JRツインタワー15Fより・大名古屋ビルディング」:(2000.2.10)

大名古屋ビルディングのディは正確にはチに濁点ですが、フォーマットがないのでこのように書きました。このビルは高さこそないものの巨大で安定感があり、名古屋駅前のランドマーク的な建物として君臨してきました。私もこのように大名古屋ビルを見下ろすのは初めてですが、特に左上の地球儀を象ったコカコーラの広告塔は地上から見るのとかなり趣の違いを感じました。
「国立自然教育園・ひょうたん池にて」:(2000.2.27)

この公園は東京山手線の目黒駅から東に徒歩10分ばかりの所にあります。ここはかって白金の地名の由来者といわれ白金長者と呼ばれた豪族の住まいだったそうです。残念ながらこの時期には明るさが見られませんでしたが、暖かくなるとこの池の周囲や湿地に生える野草や木々の緑で覆われて、訪れる人々が安らぎを覚えるにはもってこいの場所だと思います。またここでは木々の生育にほとんど手が加えられないため、木々本来の生育特性による入れ替えや淘汰が自然に行われているとのことです。
「国立自然教育園にて」:(2000.2.27)

この教育園は子供たちと自然とのふれあいを目的として整備されており、いたるところでこのような家族の散歩風景が見られます。ところで私は園内でスケッチしている若い外人女性に出会い、英語と日本語で1時間ばかり雑談しました。彼女はオーストラリアのメルボルンから来て、学校で英語を教えておりもう4年半になるそうです。当然日本語も流暢ですが感動したのは4月に日本の男性と結婚予定とのこと、幸せになってもらいたいものです。私のホームページアドレスも伝えてありますが、ご覧いただけたでしょうか。
「椿山荘の滝」:(2000.2.27)

椿山荘は江戸時代の武家屋敷跡に建てられた施設で、当時はこの一帯に椿が多くあったためこのような名前がつけられたとのことです。結婚式場・ホテル・庭園などからなるかなり広いエリアで、庭園は無料開放されています。ここで3枚の絵を制作しましたが、この日は何組かの結婚式が執り行われていました。この絵の右手に少し描かれている建物が教会形式の結婚式場になっており、1枚描き終える間に2組の式が行われました。また本題の滝は立派なもので豊富な水が流れています。滝の裏側は通路になっていて、そこを通るときに聞こえてくる滝の音が印象的です。
「椿山荘・料亭「錦水」」:(2000.2.27)

この料亭も「椿山荘」の一角を占めています。和風の建物は落ち着いた雰囲気をかもし、この中では多くの方が美しく並べられた日本料理に舌鼓を打っていることだろうと思いながら描きました。庭園の中は結婚式のお客さん以外に私のようなフリー?とおぼしき人たちが行き来し、まだ寒さの残る午後のひとときを楽しんでいました。
「東大教養学部玄関」:(2000.2.27)

私にはまったく縁がない場所ですが、目黒駅近くに掲げられていた史跡案内板で偶然見かけて訪れました。場所は駒場です。キャンパスのあちこちでは、在校生が新入生にクラブなどを宣伝する立て看板作りに熱中する風景も見られました。よく見ますと彼らは頭脳明晰に反して不器用な面もあるようで、釘を斜めに打ち込んだり危なっかしい手つきで苦労していたようです。その看板も4月初めの現在では大いに役立っているかも知れません。
「変貌する渋谷駅前」:(2000.2.28)

渋谷駅付近は私の通勤経路になっているため、何枚かの絵を描いています。この辺りもビルラッシュが続いており、絵の右手の建物は「渋谷エクセルホテル東急」です。またこの建物を中心にした一画を「渋谷マークシティー」と銘打って宣伝を始めたようです。中央下にある斜めの通路の向こうに隣接して地下鉄銀座線があります。ここでは地下鉄電車がかなり高いところを走っています。
「愛北病院の中庭にて」:(2000.3.1)

足を怪我して検査を受けた妻に付き添って来た病院で見かけた鉢植えです。この植物は葉の形から柳の一種と思われます。まだ新芽らしきものはみられませんが、中庭の中央部でどっしり構えて春を待っているという風情が感じられました。
妻の足の怪我はこの時点では回復が長引くとのお医者さんの診断結果でしたが、4月に入った現在では目だった回復が見られ、この植物ともども陽春を享受することが出来そうです。