「いよいよ5月」( 2000.5.10掲載)

いよいよ5月、しかも20世紀最後の5月です。もっとも今年はすべて「20世紀最後」という冠語が必要ですが。この葉書絵のページはまだ3月の作品をご紹介するというちょっと時期がずれていますが、そうこうしている間に桜が開花しましたのでそれを題材に何点か描くことが出来ました。「私のホームページ」は開設後丁度3年ですが、葉書絵については内容変化よりも数で押したとの印象は免れない、半ば開き直りという心境です。

「学習院大学・中央教室と西一号館」:(2000.3.7)

学習院は明治10年(1877年)の創立で、大学も創立されてから既に100年以上を経ている、由緒ある大学です。この絵は三角形の中央教室を四角形の西一号館と対照させて描いたものです。大学は目下春休みのためキャンパスを行き交う学生さんもちらほら。私のスケッチする姿に目を留める人も居ませんでした。まあ今ごろこのキャンパスは新入生も加わって賑い、木々も新緑が萌えていることと思います。
「豊島区高田・のぞき坂:(2000.3.7)

学習院大学の東側に接する明治通りのうち、目白通りにかかる千登世橋の下から都電荒川線学習院下駅過ぎまでの約500mは急勾配の下り坂になっています。「のぞき坂」の由来は恐らく下方(この絵の前方)からこちらに上って来るとき覗く姿勢になるからだろうと勝手な推測をしました。あまりにも急な坂道であるため、下りて行く車は急に小さくなってしまい、上って来る車はスピードが出ないのでなかなか近づかない、そんな光景を楽しみながら描きました。
「巣鴨・高岩寺(こうがんじ)」:(2000.3.8)

このお寺は「とげぬき地蔵」としての方が名前が売れています。ここには連日このように多くの老若男女が訪れており、「とげぬき地蔵」にお参りを済ませた皆さんの表情が穏やかになっているのが実感出来ました。多分仏様に願いをたくしたという安心感がそのようにさせているからでしょう。私にも悩みやお祈りしなければならないことがありますので、描く前にお参りを済ませました。
「巣鴨地蔵通商店街にて」:(2000.3.8)

上の絵と対に描きました。ガイドブックによれば、この辺りは中山道の一部で道筋770mに約230軒の店が建ち並んでいるとのこと。だんご、せんべいなどの菓子や薬の店などが多く、高岩寺の参拝客が立ち寄るため、「おばあちゃんの竹下通り」とも呼ばれているそうです。こうして絵を制作している自分も当然のことながら老人として見られているかも。
「東京庭園美術館」:(2000.3.8)

山手線目黒駅から東に徒歩約10分の所にあります。ここは建築・庭園・展示作品を一体として鑑賞するようにした美術館です。昭和8年に完成しましたがもともとこの建物は旧朝香宮邸で、建物全体がアールデコ様式となっています。建物内部では絶えず企画展が開催され、この時も海外の芸術作品が展示されていたようです。この絵を描き始めたところ、守衛さんが建物内部からこちらをじっと凝視していました。不審な行動と写ったのでしょうか。
「地面に咲いた三輪の桜」:(2000.3.23)

今年の3月は冬の延長という感じで桜の開花が待たれました。しかし桜自信も場所によっては開花の準備が整っていたらしく、樹上はまだつぼみが固いのに地面の花はところどころこのようにいち早く満開となっています。これは東京都目黒区での光景ですが、この辺りでは例年車の多い目黒通りに近い所は開花が早く、遠ざかるにつれて遅くなるという現象がはっきり見られます。
「二男夫婦からの誕生祝」:(2000.3.26)

私の誕生日は3月25日で、今年も二男夫婦から誕生祝いをもらいました。尤も昨年まではまだ結婚していなかったため、誕生祝いは息子とその嫁さん(予定者)が別々に贈ってくれていたものです。近年若い人達がなかなか結婚しないという状況の中で、私の息子は二人共結婚して親を安心させてくれました。こうなると私たち夫婦も欲が出て、早く孫を作ってほしいと願っております。孫が出来たらこちらが孫の誕生日にせっせとお祝いを届けることになる、こういうこともそんなに遠くないと期待しております。
「カナダ大使館の石庭」:(2000.3.29)

カナダ大使館は都内の青山通りに面した高層ビルです。一般に大使館といえば警備が厳重で近寄りがたいのですが、ここは出入りが自由で4階にある庭へも長いエスカレーターで直行出来るようになっています。この庭はこのように石を並べたユニークな庭園になっていますが、数十mにわたって並べられた大小さまざまの石の列は恐らくカナディアンロッキーの山々の連なりを表現したものと思います。
「高橋是清翁記念公園」:(2000.3.29)

この公園はカナダ大使館の北東に隣接した狭いながらも落ち着いた庭園で、カナダ大使館の石庭とは全く対照的です。高橋是清は首相や大蔵大臣などを歴任し日本を代表する政治家でしたが、昭和11年83才の時2.26事件で暗殺されました。ガイドブックによれば、この庭園は高橋是清翁の私邸などにあったものを、昭和16年(1941年)東京都がここに移設して公園にしたものだそうで、約5300m2の庭園に多くの石像や石灯篭などが配置されています。
「赤坂・豊川稲荷」:(2000.3.29)

赤坂付近を通りがかって発見?しました。豊川稲荷はもともと商売の神様ですからこの辺りに分社があってもおかしくないです。当然社殿は立派ですが境内に建てられている社務所というか会館はもっと立派でした。描いた時が丁度昼休みでしたので、一人の若いOLが境内のベンチで昼食を取っている、まさに都会の喧騒の中で孤独を楽しんでいるという情景でした。
「母子の日なたぼっこ」:(2000.3.29)

春を象徴する花の一つ「菜の花」をバックに、ひなたぼっこを楽しむ母子です。お母さんは「花粉症」らしくおおきなマスクを着けて不動の姿勢、手前の子供さんもベンチに寄りかかって退屈に抗っているという感じです。3月も残りは少し、日比谷公園の昼下がりはやっと訪れた暖かい春を楽しむ人たちで賑っていました。
「面接調査中の二人」:(2000.3.29)

若い女性がこれまた若い男性に何やらインタビューしている光景です。女性が聴きながら熱心にメモしていましたがその間約30分、お互いに見知らぬ関係でしょうからその間の両者の緊張と忍耐が眼に見えるようです。一方これとは対照的に、後方の売店の中年女性が左右を眺めながらのんびりと佇んでいました。
「大手門前の桜」:(2000.4.3)

東京都内は4月に入ってから桜が開き始めました。この桜は皇居大手門前に植えられた枝垂れ桜で、5分咲きくらいです。木は余り太くなくその数も数本ですが、皇居の緑と対照的でまた門の前面に横たわる桔梗濠ともよく調和した、品の良い並木が人の眼を引きつけています。
「平川門前の桜」:(2000.4.3)

こちらは皇居東側の平川門の前にあるソメイヨシノのかなりの古木で、そのためか花はまだ咲き始めたという感じです。この日は月曜日で皇居東御苑への立ち入りは出来ませんが、お濠の周囲には観光客と思われる人たちや若いグループが散歩を楽しんでいました。私はこの絵を描き終えて地下鉄に向かい、切符などの入っている名刺入れを紛失したことに気が付きました。過去にも紛失し戻ってきた経験があるため、多分誰かが拾っていてくれるだろうと楽観していましたが、案の定日比谷警察署から勤務先に連絡があり受け取りに行った次第です。
「岩倉駅西ロータリーの桜」:(2000.4.8)

私の地元の駅にある満開の桜です。ここはバスやマイカーが絶えず発着するため、排気ガスの温かさで開花も他の場所より早いようです。ここ岩倉市は「五条川の桜」が全国桜百選にもノミネートされており、例年桜まつりには近郊から多くの花見客が訪れますが、今年は開花が例年よりかなり遅れているため桜まつり(今年は4月1日から10日まで)はさみしいものになりました。