「21世紀初夏(はつなつ)、記録破りの猛暑が終わった」 (2001.9.1掲載)

21世紀に入って初めての夏。これを歴史の1ページに加えるかのように、今年の夏は各地で30度台後半が連続し、40度近い記録が出たところもありました。そのために水不足を来たした多くの地域では、8月下旬の台風11号で息を次ぐことができました。
私もこのような自然の情景をモチーフにし、できるだけ暑さを実感した絵を描いたつもりです。ただし7・8月の作品数が少ないのでこのページではそれらを総動員しましたが、この中の半数は猛暑の中での人々の行動を描いております。

「「ベロペロネ」先が楽しみ」:(2001.7.7)

この花については、本年1月1日のこのページに「野本さんちのコエビソウ」のタイトルで載せています。見るからにひょうきんで良く見るとえびの形をした葉苞の先から白い舌状の花が可愛く出ています。「ベロペロネ」は英語の名前ですが日本語でもぴったりです。以前から欲しかった花のひとつで、岐阜県のある大きな花屋さんで見かけ妻のささやかな抵抗を押し切って手に入れたものです。まもなく2ヶ月近くになる現在では買った時の2倍ほどに成長し、花の数も増えていますので先々が楽しみです。またこの花は最近あちこちの家で見かけるようになりました。
「七夕のノウゼンカズラ」:(2001.7.7)

この花は自宅庭に毎年おおらかに咲きます。最近まで気が付かなかったのですが、他の家などいたるところで咲き競っており色もダイダイ系で濃淡があるようです。蔓も自宅のものは上に伸び、支えるものが無いので途中でUターンし垂れ下がっています。大体どこでも同じようですが中にはこじんまりと剪定されたのも見かけます。この花は剪定すると一夏に2度咲きますが、落花は放置すると地面にべったりと付着するので後始末が面倒です。
「迫不動・護摩堂」:(2001.7.20)

「はさま不動」と言い、岐阜県関市の南東部にあります。自宅からちょうど21kmで車で約40分のため最近は頻繁にお参りしています。創建は西暦1200年代とのことですがあまり大きくもなく、地図にも簡単に表示してあるため参拝者はまばらです。しかし檀家は多いのかこの護摩堂の右手奥から最上部の岩屋に至る石段の左右には数多くの祠や石仏が所狭しとしつらえてあり、熱心な信者が祈りをささげているのを見かけます。また岩屋の近くには約10mの滝があり、水量は日によって異なりますが見ていると気持ちが洗われる感じがします。
「猛暑中・樹下に夢を貪る」:(2001.7.22)

午後、自宅から徒歩約15分の五条川で見かけた光景です。上の男性は道路際にある石製のベンチで眠り、下は川沿いの散歩道に直接横たわって眠っています。桜の大木の下で川面の涼しい風を受けて、二人の男性はどんな夢を貪っているのか。時には自分もあのような姿をさらして思う存分眠りこけてみたいものです。
「猛暑・休日の父子」:(2001.7.22)

上の絵を描いたあとに五条川沿いで見かけた父と2人の子供さんです。私も30代にはこのように子供達を連れて虫取りなどに興じたものです。この時期はアブラゼミが活発に鳴き競っているので獲物には事欠きませんが、子供が無心でタモを振り回すのを見ると微笑ましさで気持ちが和みます。
「猛暑の中のある風景」:(2001.7.24)

小牧市民病院の2階から見た光景です。実際の景色は窓にはめ込まれている枠で仕切られていますので、その区画のうち一番収まりのよい部分を描きました。木々の緑が濃く冷房の効いた病院の中からでも真夏の陽光が目に染みるほどでした。
「猛暑の中・一時のくつろぎ」:(2001.7.30)

久しぶりの浜町公園での真昼の光景です。気温はおそらく35度を超えているでしょう。昼食を取り終えたらしいサラリーマンが木陰で雑談中ですが、中央の男性のカッターの襟が開いてネクタイもだらりと緩んでいます。この絵を描き終わった直後にさらに数人の男性がこのグループに加わり、しばらく話し込んでいました。みんな若く彼らの表情からは暑さに屈している様子は感じられませんでした。
「猛暑に日傘を買う女性達」:(2001.8.1)

銀行員らしい数人の若い女性が洋傘屋の店先で日傘の品定めをしていました。最近は黒い日傘に人気が集まっているようで、どうやら2人が買った様子です。日傘で日光をさえぎる事ができてもこの猛暑から逃れることはできず、早々と退散しました。きっと冷房の効いたビルに逃げ込んだのでしょう。私もスケッチだけにとどめて足早に事務所に戻り着色した次第です。
「「多賀の霊水」をいただく」:(2001.8.12)

上に紹介した関市内の「迫不動」から数100mのところに、このような名前のほんの小さな滝があります。水は純粋のミネラルウオーターで、口に含むと甘い感じがし冷たさも格別です。最近はここを良く通りますが、「岐阜」や「尾張小牧」ナンバーのマイカーが時には10台近くも停車してこのように列を作って思い思いの容器に水を入れています。夏休み中でもあり口コミで聞いて来たらしい家族連れも相当ありますが、中には20リットルほどのポリタンクを複数個持参しているのには驚かされます。大きなタンクの水をどのようにして保管するのか不思議です。私は大きなペットボトルで持ち帰り冷蔵庫に入れていますが、さすがこの水で炊いたご飯はおいしいです。
「雨間のかかし」:(2001.8.12

岐阜県武儀町内を通りがかり、雨上がりのあと見かけた12体のかかしの一部です。どうやら子供会の作品?のようですが、顔の表情が面白くできており、衣装もありあわせをうまくコーデイネートしています。この絵にはありませんが野球選手もありました。多分イチロー選手をまねたものと思います。しかしあの一番人気の「小泉」さんは無かったようです。
「お盆休みの家族」:(2001.8.15)

私の自宅から自転車で15分ほどにある「岩倉自然生態園」で見かけました。ここで描いたものを以前にもこのページで紹介していますが、夏にはこのように家族連れで来てセミやザリガニを取っています。この絵の手前にある細い葉はガマです。あまり広くない池の周りにガマが密生し、串に刺したウインナーに似た茶色い穂を見せています。夏休みもあと半月、しかも家族全員が楽しめるお盆もこの日が最後です。相当暑い中を、タオルで汗を拭きながら草むらを歩いている若い奥さんが印象的でした。
「軍手」:(2001.8.16)

上に描いた「自然生態園」からの帰途、あまりにも妙な光景でしたのでスケッチしてみました。「ササゲ」の支柱の先端にこのように軍手がかぶせてあるのです。しっかりくくりつけてあるので多分かかしのつもりかと思いますが、それならば加害動物と被害を受ける作物は何か。この近くで数10羽の白鷺が田んぼに生息しているのを見かけましたので、これと関係があるかも知れません。軍手にすれば二度目のお勤めですが、効果があればちょっとした「リユース」のアイデアです。
「両国橋下の主?」:(2001.8.24)

両国橋の床下で見かけた上品な?犬です。暑いので路面に体を伸ばして腹を冷やしている姿を描きました。私が前にしゃがんで描いていても同じ姿勢でじっとこちらを見ています。ところが少したって急にそわそわしだした。実は私の背後に裸のホームレス男が食べ残しの食物をもって来たのです。モデルは私などそっちのけで全部食べ終わった。そしてまた別の男が缶詰の食べの残しを持って来たのでそれを食べ、その後に水まで飲む始末です。結局10分以上待たされましたが、日陰とはいうものの暑さに参って出来上がった作品はこんなものです。
「炎暑を避ける男」:(2001.8.24)

同じ日の隅田川沿いで描きました。近くに木製のベンチがあるのに、日陰を求めて地面に仰向けに寝転んで読書にふける?ホームレスです。私の位置から10m近くのため気は付きませんでしたが、タバコを立て続けに2本吸いまた本に目をやっていました。この界隈はこのような光景を良く見かけ、以前にも描いたことがあります。この近くにある両国橋の床下に定宿?を持っているホームレスかも知れません。
「3輪になった」:(2001.8.25)

一昨年から自宅庭に咲いているユリです。最初は1輪、昨年は2輪でした。いずれもこのページで紹介しています。この調子ならば花の数が次第に増えて7・8輪は期待できそうです。最近至るところで同じ花をよく見かけますが、どちらかといえば野性に近くかなり多くの花をつけているほか、コンクリートの割れ目に自生しているのもあります。このユリも年々茎が長くなり1m以上になっているため、庭より低い道路からこの絵を描くのに股梯子を使ったほどです。