「21世紀最初の記憶に残る初秋の風景」 (2001.11.15掲載)

2001年も後1ヶ月半を残すのみとなりました。今年は21世紀の最初の年で私達の誰もが夢実現の1年にしたかった筈ですが、現実は全くその逆で大変な状況の中で終わってしまいそうです。しかし周りの自然や生物は、訪れる季節に反応してそれぞれの生き様を私達に見せてくれています。そこで今回は初秋の目に映ったイメージの中から記憶に残るものを作品として取り上げました。冬を迎える前に必ず通過する紅葉などの自然が営む大きなイベントを前に、小さな生物から大きな風景まで私が目にした変化や印象を半ば「コジツケ」を加えて初秋のエポックにした次第です。

「新幹線名駅西口のオブジエ」:(2001.9.25)

JR名古屋駅西口(新幹線側)のロータリーは、余り広くないエリアを行き交う人たちの休息の場として利用できるようになっています。このオブジエはその一画にしつらえてあり、二人の女性がそれぞれ正座と寝そべっている彫刻で、女性の姿としては力強いモチーフだと思います。タイトルは「沐浴<NIJU ICHI>」とあり山崎猛作という彫刻家の作品です。私は滅多にここに来ることが無く、絵の題材としても印象に残るものが無い中で貴重な1枚となりました。
「初秋の五条川にて」:(2001.9.26)

私が五条川沿いを歩いたのは数え切れませんが、このようにカモの遊泳を見たのは初めてです。20〜30羽のカモが水流に乗ったり逆らったりしてえさを探しているようでした。私も丁度絵の題材探しをしていたときで早速描くことが出来ました。周りの桜並木は紅葉に程遠く、葉の茂った枝が初秋の風に揺られながらカモを見下ろしているようです。
「初秋のヨウシュヤマゴボウ」:(2001.9.26)

この植物は野草ですが、私の庭では毎年自生してそれなりに目を楽しませてくれます。ブドウに似たちょっと小ぶりの実をつけ、それが熟してくると次第に枝が垂れてきます。この絵を描いた時期は相当熟した感じで、葉も黄色に変化し始めていました。熟した実は食べられないばかりか紫色の汁が衣類に付着するので、妻はこの植物を余り歓迎しません。
「名鉄石仏駅の朝」:(2001.9.26)

私の住む岩倉市にある名鉄の駅はたった3っつで、この石仏(いしぼとけ)駅は市の北端に位置しています。駅舎のデザインはこのようにしゃれていますが、周囲はまだかなり田畑が広がり、この駅が普通電車しか停車しないので利用者は他の2駅に比べて少ないようです。描いていると丁度赤い電車がホームに着きました。またこの駅の数10m北側の上部を名神高速道路が走っています。
「イヌホウズキの初秋」:(2001.9.29)

7月半ば庭の隅に自生したものを鉢に移して育てました。葉がセンナリホウズキに似ていたので、実が生るのを楽しみに肥料を入れたりして様子を見ていたところ、このように外袋をかぶらない直径数mmの表面が黒く光沢のある実をつけました。口に入れると少し甘味があり2・3個まとめて舌に載せるとちくっとする感じもします。植物図鑑で調べたら「アメリカイヌホウズキ」という植物だそうです。本当の「イヌホウズキ」は毒性植物とのことですが、これは実の表面に光沢がないのでその違いがはっきりしています。「イヌ」という名前通り実がどんどん増えて、今では鉢の周りが落ちた実だらけというありさまです。
「岩倉市役所新庁舎」:(2001.9.29)

昨年暮れに完成した市役所建物を始めてスケッチしました。人口5万にも満たない小さな地方都市には不釣合いとも思える立派なもので、この絵の左側の低い部分にはレストランが入るなどそれなりの利便性が図られています。昨年秋この建物の内部見学したとき、7階(だったか?)から見た景色を描いていますが、周囲にはあまり高層ビルが無いので、見晴らしは良かったです。現在隣接する旧庁舎跡地に駐車場を建設中ですが、何しろ岩倉駅に徒歩数分の距離ですから、市役所利用者以外や他地域からの住民などに利用されないよう、新しい悩みが出そうです。
「相生カトリック教会」:(2001.10.3)

兵庫県相生にある石川島播磨重工業相生工場に出張したついでに描いたものの1枚です。この教会は相生駅から港に向かう途中にあり、幼稚園を併設したかなり大きな教会のようです。このロケット状の塔はこげ茶色の屋根と採光窓の取り合わせがユニークで、周囲に高い建物が少ないので結構目っています。
「ウキツリボクとコエビソウ」(2001.10.13)

私の庭にある最もお気に入りのウキツリボクとコエビソウを、釣る側と釣られる側の名前の取り合わせとして描いてみました。実際はこのような配置にはなっていないので、ウキツリボクの愛らしい形とコエビソウのペロっと舌を出し(事実洋名でベロペロネという)人を食ったような形状との対比を面白く出したつもりです。ただいくつかのコエビソウを密着させて描いたので「エビ」が「カニ」のようになってしまったのは、やはりオワライです。
「秋始動」:(2001.10.13)

自宅から数kmのところにある一宮西高校近くで見かけた初秋の景色です。セイダカアワダチソウの黄色い花が小川をはさんで一面に広がり、はるか前方にはお寺らしい屋根がきりっとその存在を誇示している感じです。この絵の右側に駆け足している高校生を描き、「始動」の意味を効果的に表したつもりですが意図に反して目立ちませんでした。
「お昼どきの明宝村レストランにて」:(2001.10.14)

岐阜県明宝村は夏のジャズコンサートや冬のスキーで若者に人気のある地区です。しかし今は季節的にそのどちらでもなく紅葉にはまだ早いと言うことで、レストランも我々同様熟年(?)カップルか家族連れがそこそこ入っているという感じです。ここの紅葉は全山に広がって圧巻ですので、あと半月もすれば紅葉見物の客でこのレストランも大賑わいを見せることでしょう。
「未だ紅葉」:(2001.10.14)

上と同じ明宝村での光景です。まだしっかり緑が残り、気の早いウルシか何かが少し紅葉したという感じです。ここでは紅葉前の風景をのんびりと味わうのも一興あると思いました。川のせせらぎに耳を傾け、仕事・世の中の煩わしさや不安などを一瞬ながら滅却することが私達に非常に大切であり、このような機会に恵まれているのは有難いことです。
「板取村Bandehaus前にて」:(2001.10.20)

この建物は岐阜県板取村の「板取温泉」です。「温泉」ではちょっと無粋なのでスイスかオーストリアのどこかをイメージした場所として印象付けるため、しゃれた横文字名をつけたのかも知れません。この時期は紅葉までにはまだ間があり、温泉以外には目玉がないという場所であるため、訪れる観光客はまばらで駐車場もガラ空きでした。尤もこの村は「アジサイ」ではかなり有名で、私も以前アジサイの時期にここを訪れて何点かの葉書絵を描き、このページで紹介しています。
「大矢田神社山門」:(200110.30)

この場所は岐阜県美濃市の西部にあり、「モミジ谷」として紅葉が有名です。もちろん紅葉までには未だ1ヶ月近くあり、紅葉どころか深緑でした。この大矢田神社の社殿は(由緒など分かりませんが)相当老朽化?している様子なので、特にこの山門などもう少し手を加えて良い保存をして欲しいものです。ここへの道路事情が余りよくないことも事実で、現在周囲の道路工事が盛んに行われていますので、たずねてくる多くのモミジ客に紅葉に囲まれた神社の風格も見てもらえるよう期待しています。
「東仙峡金山湖(岩屋ダム)にて」:(2001.11.4)

この湖は岐阜県金山町の北西部にあります。発電や工業用水などを得るために昭和51年完成した岩屋ダムの上流側が大きな湖となっており、私の自宅から80数kmの距離です。私がここを訪れたのは4回目ですが、このように秋に来たのは初めてです。まだ本格的な紅葉には少し早いものの日曜日でもあるため、家族連れやバイクのグループなどかなり多くの観光客でにぎわっていました。
「岩屋ダムより馬瀬川第二ダム方面を」:(2001.11.4)

上の絵と逆方向を描いたものです。この日は秋空が高く晴れ上がり、遠くの山々まで見通すことができました。岩屋ダムの直下には出力288,000kWの馬瀬川第一発電所があり、第二ダムの下に66,400kWの第二発電所があります。岐阜県には中部電力が有する全水力発電設備の半分以上があり、いずれもこのような風光明媚な山間部に位置しています。現在ではすべての設備が遠隔制御による無人運転となっています。