「21世紀の初秋(はつあき)紅に燃えて終幕す」 (2002.1.1掲載)

国内外で変化の激しかった2001年が終わりました。、ニューヨークにおける同時テロ発生とそれに伴う世界的な景気低迷の深刻化、わが国でも狂牛病による社会問題など、特に秋以降に暗いニュースが集中しましたが、12月の皇太子ご夫妻の内親王誕生は一時的ながら私達に大きな喜びを与えてくれました。そこで2001年最後のこのページは11月以降の作品を集中して掲載しました。多くの作品が秋の景色をモチーフしましたが当然ながら紅葉を描くこととなり、タイトルもそれにあわせました。本当は深山の燃えるような赤い紅葉を描きたかったのですが、実際に描いた景色はほとんど低地ばかりのためこれらの絵は鮮やかさを多少誇張しています。

「秋・可憐なパフォーマンス」:(2001.11.5)

妻が、庭の片隅に生えていた苗を植えなおして1年以上経った今年、このように可愛い実をつけました。ピンク色の硬いからが4つに割れて中に鮮やかな赤い粒が入っています。名前を植物図鑑で調べたところ「マユミ」という植物に似ていますがはっきりしませんでした。最近近所の家の庭で同じ植物の大きな木を見つけましたが、なかなか枝ぶりもよかったので我が家のものも先の成長が楽しみです。
「寺尾千本桜の秋」:(2001.11.11)

岐阜県武芸川町にあるこの場所は「寺尾千本桜」としてこの界隈の花見名所のひとつになっています。秋はその桜が紅葉するはずですが今年は早々と落葉してしまい、代わりに数少ないモミジがこのように鮮やかに紅葉していました。そういえば今年の春に妻と花見にきましたが時期が早過ぎてつぼみしか見えず、なかなか桜をめでる機会に恵まれません。
「道の駅「ラステン洞戸」の秋」:(2001.11.11)

岐阜県にある多くの「道の駅」のうち、ここは比較的近いので時々立ち寄ります。秋に来たのは初めてですが、全体の紅葉はいまいちでした。丁度御昼時になったので食堂で五目飯を食べましたが、山菜が豊富に入っており値段も手ごろで田舎の食事に満足できました。
「秋色深まる根尾村」:(2001.11.11)

岐阜県根尾村は「淡墨桜」で有名で、以前満開の桜を描いてこのページでも紹介しています。もちろん今は花は無く、周囲の山々の紅葉を楽しむことが出来ます。ただこのあたりは針葉樹が多く、落葉樹が目立たないので紅葉を堪能することは期待薄でした。
「浜町公園の秋」:(2001.11.15)

私の現在の職場はこの浜町公園から徒歩数分にあるため、職場が変わってから1年半程の間に10数枚の絵を描きました。しかし秋の風景は多分これが初めてかと思います。モチーフとしては若いサラリーマンの昼食後の語らいが多く、私のお気に入りの風景でもあります。紅葉に覆われた樹木の下で語り合う人たちの表情からは、現在の暗い世相を感じることはありませんでした。
「秋色の中・清正公寺」:(2001.11.15)

浜町公園の一画にあるお寺を、バックの紅葉と前面のベンチに腰掛けて語る2人の女性とあわせて描いてみました。少し茶色がかった葉に覆われた樹木は背が高いので、清正公寺がこじんまりと小さく見えます。浜町公園の建物としては大きくて近代的なスポーツセンターとこの建物くらいですが、スポーツセンターへは多くの人たちが出入りしているのに、このお寺は全く人影が無いのも2つの建物の違いを際立たせています。
「道の駅「織部の里もとす」和美庵にて」:(2001.11.17)

岐阜県本巣町にある道の駅でここへは初めて立ち寄りました。「和美庵」とはレストランの名前ですが、その一画にこのように大きなわら細工の、お祝い事でお酒を注ぐ急須?と3枚重ねの杯が置いてありました。この急須は大きくて中に人がしゃがむことが出来るほどです。地元の方たちの手製とのことで、急須の正面には松の木が編みこんであります。まだ出品後間もないようで藁のにおいが残っていました。
「正眼寺鐘楼の秋」(2001.11.20)

このお寺もよく参拝しますが、秋の絵を描いたのは初めてのはずです。もみじは一般に各枝の元のほうから紅葉するので是非その状態を描きたいと思って来ましたが時期が遅く、すでに紅葉は全体に広がっていました。鐘楼は前面左の松樹とバックの紅葉にはさまれる格好で威厳のある姿を見せ、人工による構築物が自然が育んだ樹木とよく調和しています。
「落葉半ば五条川」:(2001.11.20)

五条川の桜はもう半分ほど散り、枝先には新しい芽さえ見られるほどです。下の五条川のよどみには赤や黄色の落ち葉が固まっていました。五条川の桜は「日本桜百景」にノミネートされており、4月には豪華な桜並木の下を足の踏み場も無いほど多くの花見客が行き来します。今はこのように静かではありますが、紅葉もきれいで散歩をしながら結構楽しめます。
「紅葉の中・はさま農産物直売所」:(2001.11.22)

岐阜県関市の南部にある農産物直売所を紅葉をバックに描いてみました。この直売所では新鮮な野菜や果物を非常に安価で販売していますので長い利用してきました。紅葉について直売所従業員の女性が以前「常緑樹が多いので余りきれいではない」といっていましたが、その言葉に反して結構楽しめました。また後方の山の裏側にはもっと美しい景色を味わえる場所がありますが、残念ながら絵を描くチャンスがありませんでした。
「落葉を踏んで歩く」:(2001.11.28)

五条川沿いを妻と散歩しながらふと気が付いたモチーフです。落葉の吹き溜まりはこのように地面が覆われており、あたかもじゅうたんの上を歩いている気分になります。私達のように川から離れて住んでいるものにとっては落葉を踏んで歩くのも一興ありますが、これらを掃き寄せて始末する周囲の住民の苦労も大変のようです。
「晩秋の雨上がり」:(2001.11.30)

新幹線で東京に向かう途中での車窓からの風景です。場所はわかりませんが、夜半までの雨が上がって山々から立ち上る水蒸気がこのようにまだら模様を描き水墨画をほうふつさせます。秋の名残がまだ濃く、山々の薄れ行く紅葉と川べりの木々の鮮やかな色が対照的でした。
「皇太子ご夫妻女子ご誕生を祝す」:(200112.2)

12月1日に皇太子ご夫妻に女子が誕生し愛子さんと命名されました。この絵はご誕生翌日に自宅近くの神社に咲いている桜を描いたものです。四季咲きの桜ではなさそうなので俗に言う狂い咲きかと思いますが、それどころか国のお祝い事に合わせて咲いた、非常にめでたい開花です。花は多少小さめですが枝に残っている葉の赤や黄色と調和して大変赴きがあります。剪定された枝の形も上品な感じがし、本当にこの良き時期にあわせて咲かせたといっても良いほどです。
「晩秋の「どんぶり会館」にて」:(2001.12.2)

岐阜県土岐市にある道の駅のこの建物については、昨年2月に立ち寄ったとき外観をスケッチして私達の仲間で開催した「彩水会展」で紹介しましたが、2階のレストランはこのようになっており、円形建物全体にはめられた窓から紅葉した秋の景色を堪能できます。ここでのメニューの目玉は「どんぶり飯」でしたが食べ終わった「どんぶり」は持ち帰ることが出来るため値段は結構はります。あくまで「どんぶり」にこだわった印象に残る施設だと思いました。
「初冬の浅草橋北にて」:(2001.12.4)

浅草橋の北側のこの場所には、江戸時代「浅草見附」があったためこのような碑が立っています。周囲の喧騒の中でひっそりと立っていて、振り返る人もいませんが紅葉に注意するとこのように面白い構図が出来上がります。浅草橋は神田川にかけられた下流側(隅田川)から2番目の橋ですが、見附をこの場所に置いたのは隅田川を利用して行き来する人々の監視や、輸送される物品の管理が必要であったためでしょうか。後方には大きな校舎があり碑の隣には格好の良い公衆便所が設置されています。