「初詣で・残雪・やがて梅花に春を見る」 (2002.3.1掲載)

2002年ももう3月に入りました。本格的な春にはまだしばらくかかるものの、日中の温かさや植物からはそれとなく春の気配が感じられます。今回のこのページは今年に入って描いたものばかりですが、最近はマイカーの不具合などもあって製作のピッチが落ちたため、1月と2月に描いた作品の大部分をこのようなテーマで並べてみました。特に最後にご紹介する「姫路城」は運良く出張のついでに描くことが出来、長い間の希望が叶えられた気分です。

「大雪の翌朝」:(2002.1.4)

おとそ気分が残る1月4日朝の自宅庭での光景です。降雪量は20cmくらいでした。雪の間からのぞく飛び石がかろうじて地面の存在を示しているようです。名古屋では17cmほどでこれが40数年ぶりの大雪とか。この日に乗った東京へ向かう新幹線は関が原付近の雪のため20分程度の遅れになりました。
「新幹線内・母と娘」:(2002.1.4)

丁度乗り合わせた新幹線内の光景です。多分デイズニーランドへでも向かう家族でしょう。朝が早いのでここで朝食を取っているところです。二人と向き合って父親と男の子もいますが、こちらはどうやら先に腹ごなしをして眠っている感じでした。雪はせいぜい浜松くらいまでで、この絵を描いた時の車窓の風景では全然雪が見当たりません。
「多度神社初詣で」:(2002.1.6)

三重県北部の揖斐川沿いにあるこのお宮さんは5月の上げ馬で有名ですが、初詣ででも大変にぎわいます。私も妻と今回初めてここに初詣でしました。この絵の左下の茶色の部分が馬を走らせる急斜面です。また中央の樹木がここの主のように突っ立っており、向こうの鳥居が小さく見えます。石段を上る人は少ないのに駐車場が混雑していたため車中で20分以上も待たされました。
「残雪の多度神社初詣で」:(2002.1.6)

この神社では二つの社殿が左右に分かれて建立されています。従って境内の庭は狭く、多くの参拝客でごった返していました。おりしも樹枝の残雪が解けて雨粒のように降りかかるため、傘を持たない参拝者はお参りもそこそこに足早に帰っていきます。私もかろうじて山門の軒下に入ってこの絵を描くことが出来ました。
「初詣で・熱田神宮にて」:(2002.1.13)

ここへはほとんど毎年1月初めに勤務終了後初詣でをしてきましたが、今回は妻と初めて来ました。もう松の内が過ぎて久しいのに相変わらずの大賑わいで、玉砂利を踏むザックザックという音が深い森にこだましていました。参拝者の中にはこの長引く不景気から早く脱出したいとの気持ちをこめてか、じっくりとどまって手を合わせている姿もあります。
「熱田神宮休憩所にて」:(2002.1.13)

この無料休憩所の広い室内には真っ赤な大傘が立てられており、その下で外の寒さから逃れて入り込んだ多くの人が思い思いにコーヒーをすすったり、中にはおいしそうにおしるこの餅をほおばっている姿を見かけました。普段はまったく印象に残らないこの休憩所も、このように鮮やかな装いと室内の温かさが参拝後の安堵感を醸しているのかも知れません。
「迫間不動境内の残雪」:(2002.1.14)

昨年夏以降よく参拝したお不動さんで、このように雪に囲まれた光景を目にするのは初めてです。尤も正月前後に降った雪のため一部はかなり解けています。残雪を踏みながら私達のような老人?夫婦が何組か奥の院に向かって上って行きました。また私の背後奥にある滝は雪解け水で音を立てて落ちていました。この絵中央下の緑のジャンバー姿は私の妻です。
「迫間不動護摩堂前の残雪」(2002.1.14)

護摩堂の前もこのように雪が残っています。昨年9月の例祭ではここで大きな焚き火が炊かれ、地面には黒い灰が残っていますが今はそれも雪で覆われています。今日のような寒い日こそ焚き火がほしいと感じながらこの絵を描きました。
「未だ春風」:(2002.2.19)

東京の職場事務所近くの光景で、浜町の古い町並みが大きなビルの間にひっそりとうずくまっています。ここは以前にも向こう側から描いた場所で、初夏にはむくげの白い花が咲き乱れていました。現在はそれも落葉してこの通り別の樹木の黒ずんだ緑が寒さを象徴しているようです。丁度年老いたご婦人が杖にすがって軒に入るところでした。
「寒風の中・冬物一掃セール」:(2002.2.19)

ちょっと皮肉ったモチーフになりました。浜町あたりの商店街はお互い他店に負けじと、このように色鮮やかなセーターなどの冬物を軒下に吊り下げております。相場がわかりませんのでどの程度の値下げになっているのか良くわかりませんが、まだ時折寒い風が吹いているためか買っていく人もまばらでした。
「姫路城」:(2002.2.25)

最近仕事関係で姫路市の西にある相生市に出張しております。この日は少し早めに家を出て姫路で途中下車してここに立ち寄りました。尤も時間的余裕が無いので城の中へは入らず、周囲から4点の絵を描きました。姫路城を訪れるのはおそらく10数年ぶりです。姫路城は「白鷺城(しらさぎじょう)」とも呼ばれ、1609年に建造されて今では世界文化遺産に登録されています。城は姫路駅からも良く見え、最近の姫路市街がこの城を中心に非常に美しく整備されている様子で、私も今後何度か相生に行く機会があるので時々立ち寄って市内見物も楽しみたいと思っています。
「春を待つ姫路城」:(2002.2.25)

姫路城を東側から描きました。天守閣に至る回廊や櫓が何十にも建てめぐらされ、その最高部に天守閣が格調高くそびえている姿は、中世のヨーロッパの古城にも劣らないと感動しました。以前NHKの「プロジェクトX」でこの城の修復工事が紹介されましたが、2本の数10mの通し柱の確保の苦労話など、木造建築ならではの文化遺産保存の難しさと関係者の努力がよくわかります。未来永劫大切に保存してほしいものです。次の機会には妻を連れてぜひ内部を見学したいと、新しい楽しみが出来ました。
「清正公寺の梅」:(2002.2.26)

浜町公園の一角にある清正公寺で梅花を見るのは初めてです。丁度満開に近く、境内でスケッチしたり通りがかりで立ち止まって眺めている人も見かけました。古いお寺の建物と花の対象は面白いのですが、残念なのはスケッチできる場所が少なく、バックの体育館の壁が邪魔になることです。これからしばらくはあちこちで梅花を楽しめますので、折を見てスケッチしたいと思います。