「秋・自然と人々の営みを描く」 (2003.11.15 掲載)

このページで過去11月15日の掲載が3回ありそれぞれ印象的なページにしていますが、最近は私の行動半径が縮小してきたためか、葉書絵のモチーフにもある種のパターン化が目だってきました。そこで今回は残暑と紅葉の狭間における人たちの営みや、その営みの結果として目に見える事象を描いてみました。特に今年は私の長男夫婦の長女(私にとって初孫娘)が3才になったので、東京の亀戸天神社に七五三参りをし、初めてこのお宮さんに来たのを機会に描いたのが今回の目玉です。
「Royal Park Hotelポーチにて」:(2003.9.22)

箱崎の東京シテイー・エアターミナルに隣接したホテルで描いたものです。このホテルの外庭に巨大な人の足をかたどったモニュメントがあり、以前に描いてこのページで紹介していますが、さらにモチーフを変えてホテルの外塀を内側から描いて見ました。茶色のタイル壁に大きなアーチ型の空洞が5箇所掘り込まれ、底辺には小石をちりばめた水溜りが設けてありますが、設計者のモチーフはよくわかりません。
「修復完工前の正眼寺」:(2003.9.27)

岐阜県美濃加茂市西部に建立されているこの由緒あるお寺には、以前にも何度か訪れて描いています。1年以上前から改修工事が行われて、一時は骨組みだけになっていましたが現在では本殿の正面側はほとんど終わって、建物の新木材の鮮やかな色彩が目だって来ました。おそらく暮れにはほとんど完工し、来年の正月には新装なったお寺で初詣ができるものと思われます。

「収穫前の風景」:(2003.9.27)

今年は冷夏のため東北・北海道地方の稲作は相当打撃を受けましたが、東海地方では9月の残暑で持ち直して例年並の収穫が見込まれたようです。この絵は岐阜県東濃地方をドライブ中に描いたものです。山間の小さな田んぼに設けられたハサに稲わらがかけられて、初秋の風情を漂わせていました。
「初秋を楽しむ・木曽三川公園にて」:(2003.9.28)

秋分の日が過ぎても残暑が厳しい公園での情景です。ジャングルジムには多くの家族連れが半そで姿で遊びに興じています。中央の円形ブリッジと後方の角ばった構造物は意図的に配置したものとは考えられませんが、このように少し離れた位置で見るとその対比には興味を覚えます。まだ初秋とは名ばかり、もうすぐ10月なので本格的な秋が待ち遠しいという感じです。
「岐阜ファミリーパーク入口ゲートにて」:(2003.10.5)

岐阜県関市の郊外に設けられた公園に立ち寄って描いたものです。この門はファミリーパークにふさわしくおとぎばなしに出てくる中世のお城をかたどった感じで建てられています。公園の内部は「あどべんちゃあらんど」と銘打って種々の施設が配置され、この日は天気の良い日曜日であったので、多くの若い家族連れでにぎわっていました。
「日本橋・寶田恵比寿神社」:(2003.10.6)

東京中央区日本橋界隈には多くのこじんまりとしたお宮さんが散在しています。この神社は日本橋七福神の1つで商売繁盛の恵比寿神を祭っているそうです。祭壇に安置されているその恵比寿神は慶長7年(1606)に徳川家康が寄進したといわれ、運慶作とも左甚五郎作とも伝えられているそうです。
「亀戸天神社」:(2003.10.11)

葛飾区に住む長男の長女が3歳になったので、少し早いですがこのお宮さんに妻を伴って長男家族と七五三のお参りをしました。ここは私の長い東京生活でも1度も訪れたことがなかった上、赤い着物を初めて着た孫娘とともに参拝できたことに感動しました。このお宮さんは東宰府天満宮といわれ、寛文2年(1662)に九州大宰府天満宮の宮司が菅原道真の像を造って祭ったのが創建といわれ、すべて太宰府天満宮に倣って造営されているそうです。
「亀戸天神社正面の橋」:(2003.10.11)

亀戸天神社の正面には心字池があり、そこにこのような美しい太鼓橋がかけられています。真横から見る橋の影が周囲の緑とともに水面に投影されて印象的な構図を見せています。またこの神社は梅と藤の名所で、特に心字池の周りの藤の花は新東京百景にも選ばれているそうなので、改めて来春にも訪れたいものです。
「大阪・靫(うつぼ)公園にて」:(2003.10.17)

出張で訪れた大阪科学技術センターに隣接したこの公園は、規模はさほど大きくないものの都心のオアシスとして落ち着いた雰囲気を漂わせています。そして公園のあちこちにこのような彫像が設置されており、ちょうど昼休みであったせいか、近くのベンチに腰をおろしたり行き交う人たちの目を楽しませていました。
「秋にほえるザクロ」:(2003.10.19)

自宅付近の住宅の庭で見かけたものを描かせてもらいました。多くのザクロは完全に熟して種子も見えています。私の絵のモチーフにザクロは初めての登場ですが、描いてみて改めてこの果実の不思議な形状に興味をそそられます。分厚い表皮の中にイクラに似た種子がぎっしり詰まっていますが、表皮が硬いために成熟すると割れて種子が自然に逸散するようにできているとという感じです。子供のころ種子を取り出して口に入れ、その時味わったすっぱさを思い出しました。
「宝田恵比寿祭礼を見る」:(2003.10.20)

先に描いた宝田恵比寿神社のお祭り風景を、昼食に出た帰り道で描いたものです。お宮さんを挟んで左右いっぱいに提灯が掲げられ、前面の道路には露店が所狭しと並んでいます。この絵では描けなかったですが、10月19・20日の2日間は日本橋界わいで有名な「べったら市」(大根などの粕漬けを売る)が軒を並べ、江戸時代の商人宜しく和服でちょんまげ頭のお店員が大声を張り上げていました。特にべったら付けをわら縄で縛って振り回しているのは一興を感じます。
「旧岩崎邸洋館玄関」:(2003.10.24)

旧岩崎邸本邸は上野・不忍池の西方の池之端に位置し、約17,000uの庭園にはこの絵に描いた洋館と和館および撞球室があります。洋館は英国建築家ジョサイア・コンドルの設計により明治29年(1896)に完成したもので、木造2階建てで南側のベランダには装飾を施した柱の列が特徴的です。またこの庭園は所有者や所管が転々と変わり、昭和36年と44年に重要文化財に指定されて、平成13年10月に岩崎邸庭園として開園されています。
「不忍池弁財天の秋」:(2003.10.24)

秋の不忍池は枯れ始めたハスやアシで水面がすっかり覆われ、その間を多くの水鳥がえさを探して泳ぎ回っています。弁財天は過去何度か遠方から描いていたので、このように近寄って描くのは初めてですが、この日は天候がよく弁財天の八角堂周りにも多くの観光客らしいグループが集まっていました。

「上野公園・打楽器の男」:(2003.10.24)

上野公園の片隅で見かけた男性を描きました。この絵のように口ひげを生やし、足元に木琴・タンバリン・シンバルなどのほか名前のわからない楽器を所狭しと並べて、ポップス調の曲を口ずさみながら無心にたたいています。周囲を行き交う人が立ち止まって聞き耳を立てたり、正面におかれた小皿に小銭を投げ込む人も見受けられました。もちろん私もただで描かせてもらっては悪いので100円入れました。
「ジャングルジムと名古屋国際会議場」:(2003.10.29)

シンポジウムの講師として出向いた名古屋国際会議場の近くで描いたものです。シンプルな形状の国際会議場の建物と、ネットと支柱で構成されて複雑な模様を見せているジャングルジムとの対照をモチーフにしてみましたが、予期したとおり面白い絵になったと思います。ただし周囲の木々はまだ紅葉せず、ウイークデーの午後で行き交う人もまばらでした。