「2004年立春からお彼岸までの風物詩」 (2004.4.1 掲載)

今年の東海地方の冬は、暖かい日があるかと思えばすぐもとの寒さに逆戻り、こんな日々の繰り返しでした。今回は2月初めから3月下旬まで、ちょうど立春からお彼岸までの絵を紹介しますが、タイトルも2・3日の違いで寒中や暖冬など急激な気温の変化に引きずられたものもあります。いずれにしてもまだ春色には程遠い感じですが、モチーフとして何とかこの時期を表すものを考えてみました。
「大根畑・残る一本」:(2004.2.1)

秋の名残というか、収穫を終えた畑にたった1本しかも相当太った大根が残されています。葉の色もみずみずしい緑で、エネルギーを蓄えてまだまだ成長しそうな面影も残っています。それにしてもおでんの具にしたらさぞかしおいしいでしょう。
「寒中・つかの間の開花」:(2004.2.21)

毎年自宅庭の代表的な初春の風物詩です。今年も地面から細い幼葉を下敷きにして可愛い姿を見せてくれました。面白いもので花は昼間開くものの朝夕には閉じてしまいます。このような繰り返しが3〜4日続き次第に軸も長くなり周囲がぎざぎざの葉も増えてきます。この絵から1ヵ月半以上たった今では、小さな草むらのようになり花も茶色っぽく可愛らしさはどこかへ消えてしまいました。

「暖冬の午後の娘たち」:(2004.2.24)

自宅前の遊園地では子供たちが春を待ちきれず縄跳びやドッジボールに興じ始めました。昔から子供は風の子と言われてきましたが、いつの間にか屋外で遊ぶ子供たちの姿を見ることが少なくなったと感じている人は多いと思います。この遊園地でも一時子供の姿を目にすることが珍しいほどでしたが、最近は再び元気で走り回ったり叫んでいる姿に接する事が多くなって来ました。これから暖かくなると週末の遊園地はいっそうの賑わいを見せてくれると思います。
「あいおい白龍(ペーロン)城を望む」:(2004.2.25)

兵庫県相生市にある石川島播磨重工業の工場の対岸には、白龍城と名づけられた立派な施設があります。この中には中華レストラン・温泉・ショッピングセンターなどが完備されており、地元観光の目玉になっているようです。この絵では手前に船が停泊していて全体を描くことができなかったものの、中国情緒あふれた建物は印象的でした。毎年5月の最終土・日曜日にはこの名前にちなんだペーロン競漕も開催されるそうです。
「旧安田庭園内・両国公会堂を望む」:(2004.2.27)

旧安田庭園は両国橋の北方数100mにあります。ここは江戸時代の大名の下屋敷であったものを、明治時代に安田善次郎が改築した式庭園で、後に東京都に寄付されたものです。関東大震災と戦災によって荒廃していたものを改修して昭和46年から公開されており、無料で鑑賞できます。余り広くはありませんが、池の周りに配置された石と石灯篭がよく調和し落ち着いた雰囲気に浸ることが出来ます。この庭園西北部の一角に両国公会堂があります。和風の庭園と洋風の建築物の取り合わせが印象的でこの絵を描きました。
「旧安田庭園・駒止稲荷を望む」:(2004.2.27)

駒止稲荷神社は庭園南東部の一角にありお社も小さくて目立たない存在で、朱色が鮮やかな手前の橋がなければ通り過ぎてしまいそうです。下屋敷の馬をつないでいた場所にあるお稲荷さんという感じでしょうか。この橋は緑一色のなかでひときわ目立つ存在で、池の向こう側からみた景色も絵の良いモチーフになりました。
「東京都慰霊堂・三重塔」:(2004.2.27)

東京都慰霊堂は旧安田庭園に隣接して建立されています。この建物は大正12年9月に襲った関東大震災の犠牲者5万8千人余の慰霊堂として昭和5年に完成し、三重塔の基部に納骨されています。さらに昭和20年3月の東京大空襲による被害者約7万7千人の遺骨も、23年から26年にかけて都内の各埋葬地からここに集められて改葬・納骨され、26年に東京都慰霊堂として現在に至っています。三重塔は高さ約40mで、非常時の警告記念と都民の慰霊のための道場だそうです。
「樹木の手入れ風景(日比谷公園にて)」:(2004.3.3)

3月に入って都心の街路樹が剪定される風景を目にするようになりました。これは日比谷公園の通りに面した樹木の枝打ちです。高所のため作業員はクレーンのバケットに乗り込み、1人は柄の長い剪定ばさみを持ちもう1人はのこぎりで切っていましたが、切った枝もバケットの中に集めるという非常に手際の良い方法で感心した次第です。桃の節句のこの日は余り寒さを感じず、仕事がはかどったことと思います。
「娘達・桃の節句に何を語る」:(2004.3.3)

日比谷公園での一こまです。2人の若い女性が何やら話し込んでいました。おりしもこの日は桃の節句です。前方の白い建物は特設の結婚式場だそうです。私もこのあたりは何度も通っていますがこのような施設を見るのは初めてです。東京都も公園を利用して収入を得ようという計画だと思いますが、周囲の景色は良いし案外希望するカップルがいるかも知れません。施設は主に細い鉄骨とビニール製の屋根で組み立てられ、そこに建具をはめ込んだ構造なので強風時には不気味かも。
「ネギ坊主のラジオ体操」:(2004.3.15)

スーパーで買って根がほとんど付いていないネギを長持ちさせるために庭の地面に挿しておいたところ、しっかり根付いてこのようにネギ坊主まで付きました。しかも生の葉と枯れた葉が両方に上がり、あたかも人間がラジオ体操をしているようです。ネギを長持ちさせる方法は今は亡き母が昔教えてくれたものですが、このようにすればネギも庭の賑わいに一役買ってくれているという感じです。
「陽春を待つ美濃橋」:(2004.3.16)

岐阜県美濃市の中央付近で長良川にかかっているこのつり橋は大正5年の建造だそうで、既に90年近くの歴史を経ています。鉄筋コンクリートの橋脚は頑丈な構造でしかも正面から見ると何の装飾も施されていないので「端正」という言葉が似合いそうです。橋本体の朱色はもちろん時々塗りなおしされていると思いますが、春の陽光を受けて一段と鮮やかに見えました。惜しむらくは付近の桜がまだ小さいつぼみばかりです。開花したら改めて描きに来るつもりです。
「ベロペロネ・鉢の直差し」:(2004.3.16)

ベロペロネはコエビソウともいわれ、私は長い間愛着を持って接してきましたが、茎が非常に脆く何かのはずみで少し曲げると節のところで折れてしまうのが難点です。折れた枝は植木鉢に差して上手に手入れすれば根付くことがわかり、既に数本の苗が鉢に残っています。この花も茎が折れたため花の部分を鉢に直に差し込んだものです。。この赤い部分は花を取り巻く苞(ほう)でその中から白い花が突き出しています。苞は夏頃には10cmほどになりますが、この部分に限っては多すぎるのと葉がついていないのでいずれ枯れてしまうと思います。
「アークカフェ個展会場にて」:(2004.3.17)

友人の中岡さんからの依頼を受け、市川市内の「アークカフェ」という喫茶店の一画を借りて3月7日から約1ヶ月間個展を開きました。出展数は20枚です。この絵は会場に出向いたときに描いたもので、部屋の中央にはこのような立派な花が上品な花びんに活けてありましたので早速描いて来ました。この日はオープン後ちょうど10日目ですが、ご芳名簿には10名程記帳があり、コメントを下さった方もあります。東京の都心から少し離れているので、多くの人に見ていただくことは難しいかもしれません。というわけでこのホームページでも作品紹介をしており、「トピックス」をクリックしてご覧いただけます。

「アーク・タウンにて」:(2004.3.17)

上の「アークカフェ」が含まれている街角を描いてみました。建物の構造をはじめ屋根や壁の色彩などは落ち着いた雰囲気の小さな町並みを表しています。この場所は第3セクターの北総開発鉄道北国分駅のすぐ前で、東京のベッドタウンとして開発が進められている居住環境の良い場所と見受けました。
「沈丁花満開」:(2004.3.18)

自宅裏庭の沈丁花がお彼岸の中日を控えて満開になり、良い香りを撒き散らしております。花自体はそれぞれ小さいので絵としてはこのように接近して花の特徴を出すことが適当のようです。また可憐な花を目立たせるためには葉の緑を濃くするのが良いですが、葉書という限られたエリアで花と葉のバランスを考えて緑を薄くした次第です。