「猛暑の中、ひと時の安らぎを求めて」 (2004.8.10 掲載)

立秋から1週間以上を経ましたが、まだまだ真夏日が続いています。今年は梅雨の半ばころから水銀柱が上がりっぱなしで、例年にない長い夏になりそうです。私の葉書絵制作はこの暑さが響いて7・8月はペースダウンしていますので、今回は6月以降のものを集中的にご紹介しました。作品自体は暑さを表していないので、テーマには暑さを避ける意味を持たせたつもりです。7月下旬には私がメンバーになっている「彩水会展」名古屋展を愛知芸術文化センターで開催し、約320名の方に見ていただきました。私も会期5日間のうちお世話するため3日会場に出向きましたが、いずれも大変な暑さで印象に残る「彩水会展」になりました。

「西新宿・都心の駐輪場」:(2004.6.10)

西新宿にある診療所での人間ドックの帰途に描きました。都会の喧騒の中で街路樹に囲まれたエリアがこのように駐輪場になっています。新宿はJR・私鉄・地下鉄の各駅のほかバスターミナルなどがあり、乗降客は毎日十数万から数十万に及ぶと言われています。従って私もまさか新宿のような都会のど真ん中を自転車通勤する人がいるなどと考えたことがなかったのですが、このように自転車やバイクが所狭しと並んでいる風景は、都会の中の田舎風情が少しでも残されている証といえるかも知しれません。
「東京都議会棟前にて」」:(2004.6.10)

東京都議会議事堂は地図ではなぜか「議事堂」とは言わず「議会棟」と記載されています。都庁と議会棟の間の空間は舗装した原っぱですが、建物に隣接してこのような彫像がいくつか立っています。この像は若い男女がそれぞれ果物を掲げて都民に何かを訴えているようです。尤も超高層を誇る都庁などに目を奪われている通行者は、このようなパフォーマンスに注意を向けることは無いだろうと考えながら筆を取りました。

「名古屋・城山八幡宮にて」:(2004.6.12)

名古屋市中心部から数qの小高い山にある八幡宮を描きました。夕方で参拝者は見かけず、かえって静かなたたずまいを実感できました。しかしこの時の蒸し暑さが今年の猛暑を予告するかのように肌に応えました。このお宮さんは私の長男がお世話になった幼稚園と小学校に隣接しているので当時一度くらい訪れているかも知れませんが全く記憶が無く、やっと今になって都心付近のこのようないい場所があったのかと驚いた次第です。

「夕暮の日泰寺前にて」:(2004.6.12)

日泰寺は名古屋市内の最もシンボリックな寺院で、日中は広い境内が数多くの参拝者でにぎわっています。しかし私がこの絵を描いたのは夕方5時を過ぎで正門が閉じられていたのでこの門だけを描きましたが、境内にいつもの雰囲気は全く無く日泰寺の風格も感じられません。また普段は多くの老若男女が行き来している参道も、この時ばかりは道路わきの小さな土産物店に若い人達がたむろしていたり数人の西洋人がベンチで話しこんでいるだけです。
「飛水峡の「甌穴」(おうけつ)」:(2004.6.13)

木曽川支流の飛騨川で七宗町と白川町にいたる約12kmは飛水峡と名づけられ、断崖が両岸に迫りその間を急流が食い込んでダイナミックな光景を見せてくれます。またこれを特徴付けたものが「甌穴」群(ポットホール)で、岩が長い間の激流でえぐり取られて奇妙な形に変わり、一つ一つが私たちの目を釘付けにします。この絵は川に沿った国道から見下ろして描いたので微妙な象形を表すことが出来ませんでした。もし接近できればもっとリアルな作品が出来たのに残念。
「聖橋と中央快速電車」:(2004.6.14

東京の都心で神田川にかかる聖橋と御茶ノ水駅に停車した中央快速電車を、聖橋上流の御茶ノ水橋から描きました。中央快速電車の橙色は目立ちやすいので、私は過去にも好んで描いてきました。また既に午後5時を過ぎていたので西日を受けた橋周辺の建物が神田川の水面に映っていますが、この景色は聖橋の美観を含めもっとじっくり味わっても良いと思います。
「深緑をバックに犬山橋の美観」:(2004.6.20)

この日は昭和29年に高校に入学した同級生が数十年ぶりに犬山ホテルに集いました。この絵は最寄の駅からホテルへに向かう途中で眺めた犬山橋を描いたものです。犬山橋は木曽川に掛けられて愛知県と岐阜県の重要な連絡ルートとなっており、名鉄電車専用の鉄橋と一般道路橋が平行していますがここからは余りはっきりしないようです。道路橋が完成する十数年前までは鉄橋を電車・自動車・歩行者が同時に利用していました。
「深緑の中の犬山城」:(2004.6.20)

犬山城は白帝城ともいわれ、1537年に築城された日本有数の古城の1つです。この城は天守閣が3層4階になっており、木曽川に面して3方が断崖となった小山の上に建てられています。城は周囲の森の深い緑で包み込まれ、小さいながら風格が感じられます。私は以前にも犬山城を何枚か描きましたがいずれも遠方ばかりでしたので、今回は本丸の入口付近からい描きました。次の機会には天守閣に入ってこの城の特徴を描いてみたいと考えています。
「犬山市・針綱神社」:(2004.6.20

先の犬山城に隣接して建立されています。犬山城より古い時期からあった様子で、歴史的にも安産の神様として祀られてきた由緒ある神社のようです。社殿自体はあまり大きくなく特徴は感じられませんが、境内が犬山城の城郭の一部になっているらしく、長い石段の参道を登ってここに到達するまでの並木などから相応の風格を感じさせます。
「ツワブキに囲まれたみの虫男」:(2004.7.2)

東京隅田川の堤防道路、両国橋の下流部分で見かけた光景を描きました。ツワブキが生えた土手のコンクリート部分に器用に横たわった男の姿、不気味な模様の布団を巻きつけた格好で昼寝をむさぼっている様子です。丁度大きなみの虫が横たわっているように見えたのでこのタイトルをつけました。この日は余り暑くなく川からの涼しい風もあったのでこのような姿をさらしたものと思います。この堤防道路では多くのホームレスを見かけますが、こんな光景は初めてです。
「オアシス21・迎客準備」:(2004.7.8)

愛知芸術文化センターでの打ち合わせに出向き、開始までの時間を隣接するオアシス21の地階にある喫茶店でつぶしました。この絵はそこから見た光景で、10時少し前男性がオアシスの広場にテーブルと椅子を並べ始めました。数人の係員が手際よく作業を進めますが、この日も朝から日光が強いので、並べた椅子には通行人が日陰を求めて次々と腰掛け、思い思いの格好で汗をぬぐっていました。
「花屋さん開店準備・オアシス21にて」:(2004.7.8)

上と同じ頃に描いた絵です。丁度花屋さんも店開きの準備で2人の若い女性が鉢植えの花などを店先に持ち出して並べていました。彼女たちの作業は以意外にのんびりと進められていますが、まだ客が来ないのと毎日同じ仕事の繰り返しのためでしょうが、まさか自分たちがモデルになっているとは思っていないことも。緑に囲まれた赤い花々は夏の朝にフレッシュな気持ちを添えてくれそうです。
「洲原神社正門の威容」:(2004.7.24)

岐阜県美濃市の北部・長良川添いにあるこの神社は、由緒記録によると約1280年前の養老5年(722年)元正天皇の命により建立され、長享元年(1487年)に社殿が修繕されて現在もそのまま残されており、美濃市の重要文化財にも指定されているそうです。社殿やこの門は500年以上も手が加えられていなくて相当朽ちていますが、うっそうと茂った森の中で荘厳な風格を保っています。何とかこの財産を後世に伝えるために努力してほしいと思いながらこの絵を描きました。

「7月30日のサボテン」:(2004.7.30)

車で通りがかりいつも目を付けていたサボテンを、5月半ばにやっと手に入れることが出来ました。直径30pほどの団扇状で表面のあちこちには虫ピンほどのとげが突き出しています。家に持ち帰って鉢植えにし、精魂込めて?世話していたところ6月末ごろに小さな新芽が出て、1ヶ月足らずの間に成長してこんな形になりました。1日に数mmは伸び、8月中旬の現在ではこれがさらに2つの子供をつけています。サボテンの成長力には驚かされますが、早くあの美しい花を見せてほしいものと願って世話を続けています。

「ニガウリ完熟」:(2004.7.30)

ある会社を訪問して朝顔とニガウリの種子を頂き、説明書通りにプランターで育てたところ6株で10個ほどの実をつけました。大きくなったらサラダにして食べるつもりでしたが、期待に反して?小さいまま完熟しこのように色づいてしまいました。さらに1週間ほど後には実がパンクして紅色の表皮を被った種子が飛び出し、支柱などに付着したままになっています。こんな小さい状態で熟してしまった原因は、ベランダが半日陰であったことと肥料の不足と思われますが、可愛いウリのあばた面の色が変っていく様子を見ていると、大きく育てて食べてしまうより楽しみが感じられます。