「秋来ぬと・・・」(1998.10.25掲載)

先月はカナダ旅行の写真によるページ構成でしたので、私の葉書絵を紹介するのは約2ヶ月ぶりです。先月から今月にかけても50枚以上を制作しましたので、とりあえず先に描いたものから紹介します。今回は晩夏から初秋への移り変わりをテーマにしました。なお以前は絵の題材を探すことに苦労しましたが、最近ではできるだけ画材を持ち歩き、通りがけで目に入った景色などを描くように努力しております。

「残暑の朝」 :(1998.8.23)

自宅の近くにある畑での光景です。サトイモの葉はよく見ると大きくてたくましく?、なかなか面白い題材になります。緑色が濃いので表面の起伏を表すのに一考を要しました。葉に水玉でも乗っていればもっと変化のある絵になったでしょうが、朝からの暑さでそれは期待できませんでした。
「食べ頃」:(1998.8.30)

このイチジクは自宅裏の花畑にあるもので、せん定されてあまり大きくない木ですがかなりの実をつけていました。イチジクは、最近では夏場を中心に半年以上も果物屋で見られるほど、季節感を与えない果物になったように思いますが、やはり今ごろ木に生っているものは夏の代表的な風物だと感じました。
「側溝の獲物」 :(1998.8.30)

自宅裏の側溝を除草していて見つけたドジョウです。さっそく庭の手水鉢に入れて描いたもので、大きい方は少し太目になってしまいました。小さいほうは側溝に居た時から生気がなく、鉢の中でも数時間の命でした。大きい方も炎暑にもかかわらず水を変えなかったため、翌日に死んでしまいました。側溝の泥水からきれいな水に変えてやったつもりだったのに、却って可哀そうな結末になりました。
8月最後の代々木公園にて」 :(1998.8.31)

代々木公園の噴水池で談笑している学生らしき若者です。代々木公園付近は私の葉書絵制作の場として時々散歩します。ここでは風景より、ベンチに座って読書したりこのように雑談している人物の方が題材にし易いのですが、描いている途中で居なくなってしまうことがよくあり、粗雑な絵になることが多いです。
「サンジャクバナナ(新宿御苑にて)」 :(1998.9.4)

新宿御苑の温室にはたくさんの熱帯植物が植えられており、このバナナもたくさんの実をつけて収穫を待って?います。このバナナはごく普通の大きさで、「サンジャク」の意味はよくわかりません。この絵の中央から下に下がっているのは花ですが、実に比べてずいぶん大きく見えます。実の方は花のすぐ近くから上にいくほど大きくなっており、下に垂れたそれぞれが先端を上に向けて伸び上がっている様子は何かを物語っているのかも知れません。
「キンシャチ(新宿御苑にて)」 :(1998.9.4)

同じく新宿御苑の温室で見かけました。中央の大きいものは直径50cm程だと思われます。小さなものは普通の家庭でも見られますが、これだけ大きなものは初めてお目にかかり、珍しさも手伝って描いてみました。表面の刺をうまく表現できなかったのですが、長さ数センチの茶色の硬い槍の先のようです。
賢島荘より英虞湾を望む」 :(1998.9.5)

中部電力詩吟部の恒例の吟行に参加して、宿泊所から見た英虞湾を描きました。この日はどんよりした空模様であったものの、海は非常に静かで漁船がのんびりと行き来していました。陸も海も緑一色ではるか向こうの山並みだけがうす青くたなびき、このあたり特有のリアス式海岸を一層美しく見せてくれます。
「おはらい町通り 」:(1998.9.6)

伊勢神宮の内宮にいたる途中の町並みが数年前に整備され、古い町並みが再現保存されました。ここには有名な「赤福もち」の製造販売店などが軒を連ねています。この絵は小雨の中での制作となったためコンテを使いましたが、却って町や通りがかりの人々の風情が表現できたと思っています。
「佃小橋とリバーシティ21」(1998.9.9)

佃は東京湾の一番奥まった所で、佃煮屋などの古い町並みが今でも残っています。後方の「大川端リバーシティー」は石川島播磨重工業(株)発祥の地であったとか。これだけの視野の中に古い町並みと最新の住空間が見られるのは余り例がないのではないかと思います。この佃小橋の向こうには400年の歴史を物語る「住吉神社」があります。
月島西仲通り(もんじゃ街)」 (1998.9.9)

佃に隣接するこの月島は「もんじゃ焼き」で有名です、この絵は道路を挟んでたくさんのもんじゃ焼き店が軒を連ねている所を描いたものです。ちょうど昼飯時であちこちからしょうゆの香りが漂ってきましたが、もんじゃ焼きを一人で食べるのはどうも気が進まなかったので、地下鉄駅近くのハンバーガー店に入りました。この絵を描いていると、近くの家の老人が絵画のカタログを持って話しかけてきましたが、意味不明のため聞き流してスケッチを続けた次第です。
「大縣神社・姫之宮」(1998.9.12)

大縣(おおがた)神社は愛知県犬山市にある有名な神社で、この姫の宮は古来から女性の守護神として信仰があります。毎年3月15日には、小牧市にある田縣(たがた)神社と合同で執り行われる豊年祭には、田縣神社から男性のシンボルを形作った御輿が大縣神社に担ぎ込まれ、奇祭として外国人の観光客にも人気があります。残念ながら私はまだ見たことがありませんが。
「彼岸間近か」 :(1998.9.12)

彼岸花は初秋の代表的な花で、これを見るといよいよ秋だなと感じるようになります。この花は水辺や土手で寄り添うように咲くものと、草原一面に真っ赤なじゅうたんを敷き詰めたように咲くものがありますが、絵になるのはこのように慎ましく咲くものだと思います。側の桜の大木との位置関係を選んで描いてみました。