「再び行く年来る年」(1999.1.1掲載)

明けましておめでとうございます。
今年も葉書絵のご挨拶をいたします。今年は私の干支ですので印象に残る作品をご覧頂こうと考えましたが、とりあえず昨年暮れに目にした風景などをお見せし、おいおい充実させて行きたいと思います。
また、今年は念願の個展を名古屋市内で開く予定ですので、改めてご案内いたします。

日比谷・松本楼:(1998.11.25)

日比谷公園の丁度中心にあるこのレストランは、明治36年(1904年)の創業になる非常に古い店です。100年近くも続いているのはここが官庁街や金融業の中心部に位置しているためでしょうか。私も15年ほど前に入ったことがある程度でほとんど縁がありませんが、ガイドブックによると毎年9月25日の10円カレーは名物とのことです。この絵を描いて居ると丁度昼時となったため、サラリーマン風の人たちがどっと入っていきました。この絵の左上の黄色の葉はイチョウです。
秋の岩屋堂:(1998.11.29)

この「岩屋堂」へは今年のゴールデン・ウィークにも来ており、6月のページで新緑の風景を紹介しましたが、秋の盛りの今は紅葉が深い緑と調和して新緑とは異なる風情を感じさせます。当然紅葉を楽しむ客も多く、ここはやっぱり「秋が一番」のようです。
瀬戸・浄源寺三蔵門:(1998.11.29)

岩屋堂の手前にあるお寺の門です。ここの紅葉は実にきれいで見事です。この門の屋根にもイチョウやカエデの葉が降りかかり、参道や境内にはカメラを携えた多くの老若男女が行き来していました。最近は熟年の女性カメラマン?が増えてきましたが、私のように絵筆を持った人はまだ少なく、若い男性一人を見かけただけです。
浄源寺庭園:(1998.11.29)

本堂の裏手にあるこじんまりした庭園ですが、周囲は紅葉が迫って中央の石造りの五重の塔や灯篭と調和し趣のある雰囲気を醸しています。ここは訪れている人がまばらでしたが、時間があればじっと佇んで瞑想にふけるにはふさわしい場所だと思いました。このお寺の本堂は改築して間もないようですが、五重の塔などの土台の苔などはかなりの時間が経ていると感じさせます。
師走の虎ノ門かいわい:(1998.12.10)

今年も残り3週間ばかりの週の半ば、この日は虎ノ門にある金毘羅宮の縁日とかでこの外堀通りの歩道には丁度植木屋さんが店を並べ始めたところです。出勤のサラリーマンが地下鉄出口からどんどん足早に通り抜けて行きます。「今年は景気が悪いので売り上げも少なく厳しい年の瀬です」と店の奥さんが嘆いていました。手前はサボテンの店ですが、この辺りの商売屋さんはお互いに顔見知りらしいのに品揃えをしながらの世間話もあまりはずまない様子です。
東山公園・合掌造り:(1998.12.12)

名古屋の東山公園の一角にあるこの合掌造りは飛騨地方から引っ越してもう20年以上も経ている建物です。植物園の奥にあるためか訪れる人も多くないようです。この時はご老人夫婦が立ち寄ってしばしの秋を楽しんでいました。
縄文杉と東山スカイタワー:(1998.12.12)

手前の縄文杉は九州南方の屋久島にある樹齢数千年の杉のレプリカです。実物は25.8m直径5.2mもあるそうです。折れた枝の先端にはたくさんの草木が生えており、(これも実物にあわせて植えたものとのこと)大木の力強さをほうふつとさせています。後方のスカイタワーは高さを忘れましたが150m位でしょうか、三角部分の底辺付近が展望台で、また地震のときタワーの揺れを押さえるために途中に「おもり」が吊ってあるはずです。
コアラ「ペペ」(東山公園):(1998.12.12)

このコアラはここで2年程前に生まれたもののはずです。このコアラ舎には現在7匹のコアラが居ます。私が訪れたのは午後3時ころで、他の6匹はみな眠っていたのにこの1匹だけがせっせとユーカリの葉をついばんでいましたが、丁度描き終わったのと同時に眠りに入ってしまいました。コアラは本当に可愛い動物です。ここではコアラは非常に優遇されており、このコアラ舎もウン億円だったかウン十億円もしたとのこと。3年程前アメリカに出張したおり訪れたサンディエイゴ動物園のコアラはバラックまがいの小さな小屋に3匹が住んでいましたし、一昨年訪れたオーストラリアでもこんなに立派な建物には居いませんでした。
早稲田大学キャンパスにて:(1998.12.23)

天皇誕生日のこの日は、重要な仕事が昨日無事終わったという開放感にひたって絵筆にも身が入りました。まず早稲田大学のキャンパスを久しぶりに訪れ、大隈重信像と大隈講堂を一度に目にする風景をとらえました。広い構内では数十人の若者が何かの試験の合間らしく、あちこちに腰掛けて熱心にテキストを見ているのが印象的でした。
甘泉園公園にて:(1998.12.23)

この公園はJR高田馬場駅から15分ほどのところにあり、小さいながら整った和風庭園でこの池は湧き水だそうです。冬の午後で少し冷え込んでいましたが、池の回りを数人の子供たちが先生らしき青年と鬼ごっこをしながら駆け回っていました。その団体が去ったあと、二人の少女が話しかけて来ました。非常にはきはきした子供たちで、よく聞いてみると一人は両親とドイツのデュッセルドルフに住んで冬休みだけ祖母のところに来ており、もう一人も9月まで向こうに住んでいたという。二人とも小学2年生だそうですが、普通の日本の小学生と比べると積極性が違うことが納得できました。同じ日本人ですが子供だけに、生活環境などの違いをはっきり表していると感じました。

学習院旧正門:(1998.12.23)

この門は学習院が神田錦町に明治10年(1878年)開校のとき建てられたもので、明治初期の文明開化様式を表しているそうです。1887年学習院の焼失以後あちこちを転々としていましたが、昭和25年(1950年)この学習院短期大学の門として移設され、現在は東京都の重要文化財となっています。赤さびた唐草紋様は過去の長い間の運命を物語っているようです。
都電荒川線学習院下駅にて:(1998.12.23)

都電荒川線は何時どこで見ても風情があり、私はこれが気に入って過去に2度描いています。今回は学習院下という駅のホームですれ違うところを描きました。この電車は何種類かの型があり、この絵でも多少の違いを出しています。休日の夕方の風景ですので、後方の池袋サンシャインビルも少しくすんだ感じになりました。