「現代文化と古(いにしえ)文化を描く」 (1999.3.1掲載)

1月中旬の3連休を東京方面で過ごし、東京臨海副都心と鎌倉の寺寺をめぐって何枚かの絵を描きました。臨海副都心はバブル初期の平成の初めに開発が開始されバブル崩壊後は開発がペースダウンしたものの、近代的な建築物や施設が立ち並ぶ現代文化の象徴ともいえる街です。鎌倉は今から700年以上も前の古い文化とたたずまいを残しています。一日ずつまったく違う文化に接して絵を描くというのは私のこの上ない幸せで、また天候にも恵まれた暖かい日でしたので、足を使っての葉書絵制作には最適でした。

「お台場にて」:(1999.1.16)


この「自由の女神」像はフランスから借用して1月18日までお台場海浜公園の一画に建てられていました。像の高さは15m程と思われあまり大きくはないのですが、実物を初めて目の当たりにして女神というより男性的な力強さに引かれました。この日は多くの老若男女が見物に訪れ、女神像をバックにして写真撮影をしていました。
「冬のレインボウブリッジ」:(1999.1.16)

レインボウブリッジを描くのは昨年春以来ですが、今の季節は緑が少なくて味気ないものになりました。ただ冬のため空気が比較的澄んでいて前方の東京タワーがくっきりと見えました。
「フジTV・ニッポン放送ビル」:(1999.1.16)

東京臨海新交通ゆりかもめ台場駅前にあり地球儀を挟んだ形でかつ非常に入り組んだビルです。このビルは二つの民間放送の社屋となっており、上部には展望台があるとのことです。余りにもごちゃごちゃした建物で何を中心に描けばよいのか迷った挙げ句の作品です。ビルの手前を「ゆりかもめ」が走っています。
「東京臨海高速鉄道・国際展示場駅」:(1999.1.16)

臨海副都心の中心的な施設は東京ビッグサイトと称されている国際展示場で、この近くには二つの私鉄が来ております。この駅舎は何をモチーフしたものか知りませんがT字型のレイアウトとなっており、この絵の向かって右側が縦の部分左側が横の部分の一方で向こう側にも同じ型の建物がつながっています。屋根の形はどう見てもタービンに似ていますが私の職業からの偏見かも。
「台場公園にて」:(1999.1.16)

台場の語源は、徳川時代末期に黒船が入港した際の外国船からの防御のための大砲が置かれた所だとのことです。この絵の手前と中央左にあるのは大砲の基礎で、コンクリート造りの頑丈な「台」です。この一帯はお台場と言われていますが、本当の台場はここの正方形をした小さな出島をさすようです。
「お台場海浜公園を望む」:(1999.1.16)

上の台場から見たお台場海浜公園の一部です。この辺りは昔海であったもので埋め立てて人工の海岸になっております。砂浜も人工とは思えないほど整備されていますが、遊泳や釣りは禁止されています。向こう側は高層住宅でどこか海外のリゾート地を彷彿させます。中央の観覧車は海浜公園から遥か向こうに工事中のもので、そちらはまだまだ開発できるスペースがたくさん残っています。
「鎌倉・円覚寺」:(1999.1.17)

鎌倉幕府の北条時宗が 1300年に建立した臨済宗の禅寺で、JR横須賀線北鎌倉駅からすぐ近くにあります。このお寺は数回の大火にあって再建されていますが、現在ではすべて復興されて特に山門は堂々たる構えを見せています。。
「鎌倉・東慶寺」:(1999.1.17)

このお寺も臨済宗の禅寺で、北条時宗夫人が1285年開山し明治時代までは尼寺で駆入寺または縁切寺として女性を救ったとのことです。ここの梅は有名ですがまだ時期が早くほんの一輪か二輪が咲き始めていました。
「鎌倉・明月院」:(1999.1.17)

あじさい寺として有名なこのお寺は1160年に明月庵として創建されたものです。ここを訪れたのは2度目ですが、いずれも冬ばかりであじさいはお目にかかったことがなく、今は茎だけが参道の両脇に残っています。境内はあまり大きくないですが落ち着いた雰囲気が
あり、この日も何組かの参拝客が訪れていました。
「鎌倉・建長寺」:(1999.1.17)

鎌倉のお寺と言えばまず口にするのはこの建長寺で臨済宗建長寺派の大本山です。1253年北条時頼が建立した我が国最初の禅寺とのことです。山門や仏殿などの建物は荘厳ですが、色彩は単調でけばけばしさは全くありません。ここには多くの国宝や重要文化財があるそうです。
「鶴ヶ丘八幡宮」:(1999.1.17)

大仏とともに鎌倉の観光シンボルで、源氏一族と鎌倉幕府の守護神であったお宮です。この絵の向かって左側にはオオイチョウがあり樹齢は約1000年とのことですが、1219年三代将軍がここに隠れていた公暁(くぎょう)に暗殺されたことは有名な話です。この絵を描いた日は天候も良くこのように多くの参拝者が訪れていました。
「鎌倉・杉本寺」(1999.1.17)

このお寺は天台宗で734年光明皇后が建立された鎌倉最古と言われています。小さな建物の藁葺きの屋根には雑草が生え、その古さを物語っているようです。また正面の参道となっている木製の階段は擦り減ってしまい現在は通行禁止で、バイパス路を通行しています。