ヨーロッパ寸描 「パート その他地域編」 (1997.10.20掲載)

 1997921日〜104日の2週間 , 業務のためロンドン(イギリス)・マドリード(スペイン)・ミラノ(イタリア)・デュッセルドルフ(ドイツ)・アムステルダム(オ ランダ)5カ国を訪問しましたが、この間20点余の葉書絵を描くことができました。
このページでは グラナダ(スペイン)・マドリード・ミラノ・アムステルダムでの作品についてご覧いただきます。
ミラノはイタリアにおける商業の中心ですが、宗教的な建築物も多く絵の題材には事欠かない街です。
アムステルダムは中央駅を中心にして運河が何重にも取り巻いており、多くの橋や建築物も含めて本当に「絵」になる風景がいたる所にあります。またここは「飾り窓」でも有名ですがさすがに写生はできませんでした。

 

「アルハンブラ宮殿にて(グラナダ)」:(1997.9.26)

アルハンブラ宮殿は1238年に着工され、16世紀まで増築が続けられた回教様式の建物です。宮殿の周りには絵になる風景が数多くありますが、結局この1枚にとどまりました。但しこの塔は回教徒が建てたものを侵略してきたキリスト教徒によって改築されたとのことで、この宮殿内の他の建築物とは少し趣が違います。

 

「カテドラル(グラナダ)」 (1997.9.26)

この建物はカトリック両王の命令を受けて回教寺院を潰して1504年着工し、200年後の1704年に完成したとのことです。この絵は建物の外側のほんの一部分ですが、内部はルネッサンス様式の115.4m×67.25mという堂々としたもので、主祭壇を中央にし周囲の壁に沿って幾つかの小祭壇が組み込まれており、スケールの大きさに目を見張りました。

「スペイン王宮(マドリード)」 (1997.9.28)

1764年に当時の国王がローマのヴェルサイユ宮殿に匹敵することを意図して建てたという壮大な宮殿です。ロンドンのバッキンガム宮殿にも似ていますが、中央のドームがあるためにそれより格調高い感じがします。現在この建物は公式行事のみに使用されているとのことです。

「ドウオーモ(ミラノ)」 (1997.9.29)

ミラノのシンボルであり最も印象に残る建物です。14世紀に着工し19世紀に完成したイタリア中世最大の教会(長さ148m,幅87m)とのことです。夫々の屋根に建てられた135本の尖塔は遠くからは森の木立に見えますが、その頂部には聖者の像が立てられており、この建物の完成までの労苦は想像を超えるものがあると思います。

「スフォルツェスコ城(ミラノ)」: (1997.9.29)

ドウオーモから北西方向に進むとこの城に突き当たります。ビスコンテイ家の城を15世紀にスフォルツア家が改築したものとのことです。頑丈な構えですが中には美術館があり、ミケランジェロ生前最後の未完成彫刻「ロンダニーニのピエタ」も展示されています。 

「サンタンブロージョ教会ミラノ)」 (1997.9.29)

4世紀に完成した、市内最古のロマネスク様式の教会です。9・12世紀にはアナトリウムや鐘楼が建てられ現在の形になったとのことです。私が入り口のところでこの絵を描いている間、後ろで子供をあやす女性の声を耳にしましたが、描き終って動き出したところその母親が私に手を差し出し物乞いしてきました。日本では体験できない光景です。

「サンタ・マリア・デッレ・グラーツイエ教会(ミラノ)」: (1997.9.29)

ミラノのルネッサンス建築を代表する建物で、15世紀にドメニコ会の教会として建てられたとのことです。私はまだお目にかかったことはありませんが、この中の旧修道院食堂の壁にレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が描かれています。この食堂は一時ナポレオンの厩舎として、その後第二次大戦の爆撃に見舞われるなどの不幸を経験しましたが、幸いにこの壁画は災禍を免れ、現在も多くの人々に感激を与えているのです。

「アムステルダム西教会」 (1997.10.2)

アムステルダムの私の宿泊したホテルのすぐ近くにあり、オランダガ輩出したレンブラントが葬られています。1631年に完成したルネッサンス様式の教会です。高さ85mの塔の上に当時のオーストリア皇帝マクシミリアンの金色の王冠が載せられ、オーストラリア支配時代の片鱗を残しているわけです。

「アムステルダム・カイゼル運河」 : (1997.10.2)

アムステルダムにある多くの運河の一つで「西教会」や「アンネ・フランクの家」に隣接しております。橋の名前はわかりませんがいたるところにこのような橋がかかっており、地図が無ければ絶対迷ってしまうこと請け合いです。運河に接する狭隘な道路を絶えず車が騒音を撒き散らせて通り過ぎますが、小船がのんびりと運河を行き交う情景だけからはこのような様子は想像出来ません。

「オランダ国立美術館 (アムステルダム)」: (1997.10.3)

1885年に開館したオランダ最大の美術館で、15〜17世紀のオランダ絵画の傑作を集めています。特にレンブラントの「夜警」は有名です。ここは絵画のほか数多くの陶器・織物なども展示されており、さらに博物館も併設されてオランダの歴史や「東インド会社」に関する展示品もあるので、私は両方を一通り鑑賞するのに約3時間かかりました。

「マヘレ跳ね橋 (アムステルダム)」 : (1997.10.3)

何百とあるアムステルダムの橋のなかでも「マヘレ跳ね橋」は有名です。1671年建築家マヘレによってアムステルダム川に架けられたものだそうです。この小さい木の橋は大型船が通過するたびに人力で動かされているという、都会の真ん中にありながら何とのどかな光景ではありませんか。この絵を描いている途中で橋の「跳ね上げ」を見ることができました。