「春の序章・梅」(1998.3.8掲載)

桃の節句も過ぎやっと春がやって来ました。しかしまわりの景色を見ると寒椿・水仙・梅などが咲いている位で木々は芽さえ付けず、本格的な春はまだまだという感じです。梅は木の数も多く、桜の開花までの早春を代表する花木です。かねてから妻が水戸・偕楽園の梅を見たいと言っていたので、2月下旬の「梅まつり」に偕楽園にでかけました。また自宅から20分程の所にある梅の大木が満開で、こちらの方もなかなか見ごたえがあります。そこで今回は「梅」にスポットを当ててページを構成しました。

「微 笑」:(1998.2.14)

自宅の庭に1本だけある椿が沢山の花をつけました。この椿は「侘助(わびすけ)」という品種だそうです。小さな花瓶にさして写生したのですが、何となく心温まる感じの絵になったのでこの様なタイトルを付けました。椿は赤紫の単色が主流のようですが、この花はピンク系で一輪挿しにはよく似合うと思います。

「雑司が谷・鬼子母神(きしぼしん)」:(1998.2.20)

「鬼子母神」とは子育ての神様だそうで、私は東京都内にある「鬼子母神」についてこの「雑司が谷」と「入谷」の二ヶ所しか知りませんが、ここはお宮の構えも立派で境内の大イチョウは有名とのことです。境内にある土産物店の前は飼いネコのサロン?らしく、飼い主に連れられて来たらしい数匹のネコが集まってポリ容器に入れたエサをついばみ、そばで飼い主?が談笑しておりました。さすがによく馴れていて、1匹の大ネコが私の絵の具を舐めようとし暫らく側から離れませんでした。

「偕楽園(かいらくえん)にて」:(1998.2.22)

偕楽園は水戸市内の西側に位置し、約100種3000本程の梅が植えられています。2月20日から「梅まつり」が開催されていますが、花の方はまだ三分咲き程度で見頃は来月上旬位だと感じました。しかしこの日の人出は多く、11時頃に着いたときには沢山並んでいる屋台も結構繁盛していました。

「水戸・偕楽園にて」:(1998.2.22)

偕楽園は、水戸第九代藩主徳川斉昭(なりあき:1800〜1860)が1842年に創設・開園したもので、梅を中心に孟宗竹・つつじ・萩・桜なども配置された四季の風情や明暗に富んだ趣のある造りで、名園として名高く日本三公園の一つに数えられています。偕楽園の名称はパンフレットによると、中国の古典である「孟子」の「古(いにしえ)の人は民と偕(とも)に楽しむ、故によく楽しむなり」という一節から取ったものだそうです。3000本もあると花の色が多いのは勿論、かなり古い木もあって表皮だけで生きて花を付けているものもあり自然の生命力には驚かされます。この木も古木の一本と思われます。なお今年NHK大河ドラマ「徳川慶喜」が放映されたのを記念して、偕楽園南側の千波公園に「徳川慶喜」展示館がオープンされました。

「水戸・弘道館」:(1998.2.22)

弘道館は、水戸第二代藩主徳川光圀が藩士の教育のために藩校として計画したものを、後世になって上に記した徳川斉昭がその遺志を継いで建設し、1841年に開館したものです。これは文武両道のほか医学・薬学・天文学・蘭学など幅広い学問が取り入れられた、現在の総合大学ともいうべきものであったそうです。現在の建物のうち正門・正庁・至善堂が国の重文に指定されています。

「原宿駅」:(1998.2.23)

仕事の合間を見て原宿駅近くに来ました。ここは1995年のメーデーの日にも描いたことがありますが、この時は駅前からでした。今回は駅の南側歩道橋から描いたので、屋根の上にある塔の部分がやや大きくなってしまったようです。JR山手線には29駅ありますが、この駅の建物は東京駅に次いで絵になると思います。この日は天気も良く数人の人が同じ場所から同じ絵を描いていました。

「有栖川宮(ありすがわのみや)記念公園にて」:(1998.2.24)

有栖川宮記念公園は、明治初期に活躍した皇族「有栖川宮熾仁(たるひと)親王(1835〜1895)」の庭園を1934年に記念公園として開放されたものだそうです。ガイドブックに梅の紹介があったので来て見ましたが梅は少なく、池にしつらえた琴柱灯篭が印象的でしたのでこれを中心に描きました。また向こう側の渡り場に立って池を眺めている男性が偶然眼に入りましたので、これもアクセントとして加えました。

「二月尽(にがつじん)」:(1998.2.28)

自宅から徒歩20分程の所に1本だけある梅の大木を描きました。丁度この日は2月28日でしたので、2月末の季語である「二月尽」というタイトルにしました。梅の花は一般に桜ほどの豪華ではありませんが、この木は満開で桜をしのぐほどの花を見せてくれています。この木は名鉄電車の線路沿いにあり、駅の近くでもあるため電車が減速して車内からも楽しめそうです。

「早春の香り」:(1998.2.28)

上の花の一部を取り上げました。ほとんど風がなかったので花の香りが快く感じられました。梅は桜にくらべて開花の期間が長いので、暫らく楽しめそうです。偕楽園の梅も良いのですが、このように空き地の1本だけの梅の花も見事です。

「冬の名残」:(1998.3.1)

自宅裏庭の浴室窓近くに枝を伸ばした青木があります。丁度今ご覧のような赤い実をつけて、冬の名残を惜しんでいるようです。この青木は妻が挿し木で育てたものでかなり大きくなっていますが、この様な斑入りのものですと見ごたえがあります。まだ暫くの間赤い実を見せ続けてくれることと思います。

「菜の花」:(1998.3.4)

東京の日比谷公園での光景です。菜の花が咲き競っている広場でご婦人方が昼食をとりながら談笑しています。誰も彼も春を待ちわびていたのでしょう。この日はかなり暖かくサラリーマンも食後の散歩や読書で時間を過していました。これからの何ヶ月かはあちこちでこの様な光景を目にすることが珍しくなく、葉書絵の制作はますます忙しくなりそうです。

「浜離宮庭園入口」:(1998.3.5)

品川駅近くのホテルで行われる講演会までに暫く時間があったので、新橋駅から徒歩20分ばかりの浜離宮恩賜庭園に入って何かを描くべく来てみましたが、運悪く雨がパラつきだしたので入口の橋で足を止めて東京湾方面を描いてみました。船だまりには数隻の船が静かに眠り、空の薄暗さも手伝って淋しい風情でした。